試作
試作とは何を指すのでしょうか。簡単な様で結構やっかいな問題を含んでいます。これでまでの経験を振り返ってみますと、お客様と試作を依頼された制作者、社内外の複数の制作関係者の間で、お互いの試作に関する理解は、スタートの時点でかなりすれ違いが起こっている場合があります。当然同じ会社のメンバー内でも同様なことは起こります。デザイナーと設計者、機構設計者と電気回路設計者、プロジェクトチームの上司と部下など、至るところで微妙なすれ違いや大きな問題になるような事柄まで起こっています。ここでは試作にたいする考え方として、商品企画を前提にした試作の製作について考えてゆきます。ここで述べてきた問題提起はどの商品開発の段階でも生じる問題です。あえてここで問題にするのは、この試作の時点でアイデアが形になるという明確な判断材料(試作品)が、登場するからです。これからの課程で大変重要な事ですので、是非この形になった試作品を皆様の共通理解と、共通判断材料にすることをおすすめします。重要なことは、形のあるもの、言葉でなくもので判断をして行く。このことを通して利害関係者の、コンセンサスが得られていけば、商品企画全体の進行が、スムーズに進んでゆきます。試作の課程を通してこのことが開発関係者の共通理解になって行くと、時間も費用も抑えられ、結果も自ずと付いてくると思っています。
ここから、本題に入ります。
試作と一口に言っても、目的に応じて試作の内容は様々に異なります。良いものを作ろうとすればするほど、試作のプロセスは複雑になり試作品の点数は多くなっていきます。
試作に関しましては、5つの項目に分類して説明して行きます。①試作仕様書②機能試作③デザイン試作④量産試作⑤最終確認試作の5分類になります。製作する商品により一部のプロセスを省略することもあります。ここでは①~⑤ののプロセスを順番に進めて行くことが基本になりますが、どれを先行するか、優先順位をおくかは、担当者の考え方に依存します。
また①~⑤のプロセスは、一度スタートしてからでも各プロセスを検証しながら進めますので、前に戻ったり一部を飛ばしたりという、柔軟な進め方が要求されます。
ここでの進め方の善し悪しが、開発を進めて行く上での重要なポイントになります。